前回の台北弾丸旅で、街中に並ぶ黄色い自転車「YouBike」がずっと気になっていた。
でも、その時は食べることと足つぼで手一杯で、乗らずに帰ってしまった。
それがずっと心残りだった。
だから今回は、YouBikeに乗るために台北へ戻ってきた。



9:30 桃園国際空港に到着
桃園国際空港に到着。
今回は、前回と違ってかなりスムーズだった。
飛行機を降りて、入国審査へ。
待ち時間もそこまでなく、思ったより早く外に出られた。
弾丸旅では、ここがかなり大きい。
空港で30分ロスするか、早く抜けられるかで、その日の密度が変わる。
今回は幸先がいい。
今日は台北をYouBikeで走る日である。
空港で足止めを食っている場合ではない。
入国が早いだけで、弾丸旅はかなり勝ちに近づく。
10:05 桃園国際空港第1ターミナルからMRT
桃園国際空港第1ターミナル駅から、MRTで台北駅へ向かう。
空港から市内までの移動は、迷わずMRT。
台北はこの導線が分かりやすい。
乗ってしまえば、あとは台北駅まで一直線である。
ここで安さや別ルートを考えすぎると、時間と体力を失う。
今日の目的は、市内でYouBikeに乗って台北を走ること。
空港移動で消耗している場合ではない。
弾丸旅では、空港から市内までをいかに早く片づけるかが勝負である。
10:45 台北駅に到着
台北駅に到着。
ここから、2回目の台北弾丸旅が始まる。
前回は、食べて、揉まれて、夜市へ行って、深夜便で帰るという、胃袋と足裏で台湾を回収する旅だった。
今回は少し方向を変える。
テーマは、YouBike。
台北の街を、自転車で回ってみる。
海外での初自転車。
今回は、点と点の地下鉄だけでは見えない台北を、自転車で線にして回る。

YouBikeとは何か
今回の主役は、台北のシェアサイクル「YouBike」である。
台北の街を歩いていると、黄色い自転車がずらっと並んだポートをよく見かける。
これがYouBike。
日本でいうレンタサイクルやシェアサイクルのようなものだが、台北ではかなり街に溶け込んでいる。
駅前。
市場の近く。
公園の横。
大きな道路沿い。
観光地の近く。
街のあちこちにポートがある。
しかもアプリを見ると、どのポートに何台自転車が残っているか、返却できる空きスペースが何台分あるかが分かる。
これがかなり便利だった。
「ここで借りたい」と思っても、自転車がなければ意味がない。
逆に、目的地に着いても返す場所が満車なら困る。
YouBikeはその状況をアプリで確認できるので、弾丸旅でも使いやすい。
徒歩なら遠い。
地下鉄に乗るほどでもない。
バスを待つのは面倒。
そういう距離を、YouBikeがきれいに埋めてくれる。
料金もかなり安い。
台北のYouBikeは、ただの移動手段ではない。
街そのものを楽しむための乗り物である。
YouBikeがあると、台北は「点で回る街」から「線で走る街」になる。
11:10 YouBikeで台北の朝へ
YouBikeを借りて走り出す。
暑い。
でも、朝の空気はまだ少し爽やかだった。
初夏の青空。
広い道路。
スクーターの流れ。
古い建物と新しいビルが混ざる街並み。
この国がITで進歩していて、マスク配布アプリをいち早く整えた国だということを忘れるくらい、街には少し昔のアジアの雰囲気が残っている。
新しいのに、懐かしい。
便利なのに、どこか昭和っぽい。
台北はその混ざり方がいい。
自転車で走ると、それがよく分かる。
地下鉄では点と点になる街が、自転車だと線になる。
台北は、自転車に乗ると急に立体的に見えてくる。
11:35 南門市場へ
まずは南門市場へ。
市場は、台湾の生活感を一気に浴びられる場所である。
観光地として整えられすぎた場所ではなく、地元の人が普通に買い物をしている。
食材。
惣菜。
乾物。
漢方っぽい匂い。
見ているだけで楽しい。
おかゆがうまかった。
12:15 中正紀念堂へ
南門市場から中正紀念堂へ。
ここは、とにかく大きい。
何百年も前の歴史建築というより、近代に一気に建てた巨大建造物の迫力がある。
中正紀念堂は、蔣介石を記念して建てられた巨大な建物である。
ただ、蔣介石は台湾の近現代史の中で評価が分かれる人物でもあり、この場所も台湾の人にとっては単純な観光名所ではなく、少し複雑な意味を持つ建物なのだと思う。
広い。
広すぎる。
門も、広場も、建物も、全部が大きい。
そのせいか、意外と人が分散していて快適だった(広すぎるのでがらがら)。
正面には人が多い。
でも、少し裏へ回ると一気に静かになる。
むしろ裏側の空気がよかった。
建物の白と青。
広場の余白。
周辺の緑。
あんなに大きいのに、正面だけ見て帰るのはもったいない。
自転車だと、こういう場所の裏側まで自然に回れる。
徒歩なら面倒な距離でも、自転車なら一気に行ける。
中正紀念堂は、徒歩で見るより自転車で外周まで回った方が面白い。
13:00 近くのスタバと東門市場をぶらぶら
中正紀念堂の近くで、少し休憩。
スタバもあり、市場もある。
台北はこういう切り替わりが早い。
巨大な記念建築があったかと思えば、少し進むと生活の店がある。
観光地と日常の距離が近い。
ここの市場は古い感じで来たこともないのになぜか懐かしい。
日本にも昔よくあった感じがする。
台湾が先なのか、日本が先なのか。
どちらかが真似たのか。
それとも、同じアジアの生活圏に似た空気があるだけなのか。
自転車で市場の周りを走ると、そんなことを考えてしまう。
市場は、派手な観光地ではない。でも、その街の温度が一番出る。
雨もぽつぽつしてきた。
台湾は、たぶん雨が多い。
しかも、急に降って、急にやむ。
日本の雨というより、南国っぽい雨。
台湾弾丸旅は、雨雲との読み合いでもある。
14:00 台北駅
ここから一気に台北駅へ地下鉄ワープする。
やはり長距離は地下鉄に限る。
台北駅の北側に出ると大雨。
もし少し行動がずれていたら、市場で雨にやられていたかもしれない。
結果的には、台北駅にいるタイミングで雨を避けられた。
やっぱり、雨回避能力が高い。
晴れと雨で、台北は別の街みたいに見える。
晴れると一気に走りたくなる。
雨が降ると、屋内に吸い込まれる。
台北の予定は、天気で組むより、天気に合わせて組み替える方がいい。
14:30 SOGO復興店
晴れ間を見て、またYouBikeで移動。
でっかい建物が見えてくる。
そごう復興店。
その食料品売り場などで買い物。
そこで気になったのが、王德傳。
台湾茶の老舗である。
王德傳は1862年創業の茶荘で、台湾烏龍茶で知られる店。台湾茶といえば、やはり烏龍茶である。日本で飲むペットボトルのウーロン茶とは全然違う。香りが立って、茶葉ごとに味が違う。軽いもの、花のような香りのもの、焙煎が強くて香ばしいもの。台湾茶は、ただの飲み物というより、香りを楽しむものに近い。
王德傳は、その台湾茶をかなりきれいに見せている店だった。
昔ながらの茶葉屋というより、老舗を現代風に整えた台湾茶ブランドという感じ。
店構えも洗練されている。
赤を効かせたデザインで、茶葉の店なのに古くさくない。
缶がかわいくて小物入れになる。
店では、店員さんがかなり丁寧に説明してくれた。
しかも日本語である。
茶葉の違い、香りの違い、味の出方。
こちらがよく分かっていなくても、ひとつずつ説明してくれる。
さらに、味見もさせてくれた。
これがまた楽しい。
つい長居してしまった。
これは仕方ない。
王德傳は、お土産を買う店というより、台湾茶を少し体験できる店だった。
15:10 鼎泰豊
そごうの中の鼎泰豊へ。
やっぱり台湾に来たら、ここは外せない。
人気店のため少し時間をずらしてきた。
小籠包。
やっぱりうまい。
皮の薄さ。
中のスープ。
熱いのに、もう一個食べたくなる感じ。
安定感がある。
両隣とむこうの3人が食べていた青菜炒めのようなものも気になって注文する。
これがうまい。
豆苗に近い感じもある。
ごま油。
揚げたスライスにんにく。
鶏ガラっぽい旨味。
小籠包だけではなく、こういう青菜料理がちゃんとうまいのが台湾の強さである。
鼎泰豊は有名すぎる。
観光客向けと言えばそうかもしれない。
でも、うまいものはうまい。
台湾で鼎泰豊を外す理由を探すより、食べて満足した方が早い。
17:15 地下鉄とバスで台北101へ
ちょうどそごう地下から地下鉄が出てることにきづき地下鉄移動することに。
地下鉄とそごうの連絡部分は日本を彷彿とさせた。
ここから台北101へ向かう。
この判断がよかった。
なぜなら、また雨である。
まじですごい。
何かセンサーでもあるのかと思うほど、移動手段を変えたタイミングで雨を避けている。
「しんどいから電車で行こう」
その判断が、たぶん無意識に雨の前の最適解になっていた。
地下鉄とバスで台北101へ。
自転車旅とはいえ、全部を自転車にする必要はない。
雨、距離、疲労。
それに合わせて、地下鉄やバスを混ぜればいい。
YouBike旅の正解は、自転車縛りではなく、乗り物を切り替えることである。
18:00 台北101展望台へ
台北101に到着。
18時から展望台へ。
これが結果的にかなりよかった。この時間帯はおすすめ!
その場で予約をとるのだが、夜景の時間は予約でいっぱいだった。
でも、18時なら入れた(あっぶね)。
それにいったん入ってしまえば何時間でもいれる様子w
しかも、昼の景色と夕方の景色(ライトがだんだんついていく夜景になりかけ)の両方が見える。
雨だったので、空気は少し重い。
晴れていたら夕日も見えたかもしれない。
でも、雨だからこそ人が少なかったのかもしれない。
これもまた最適解である。
昼の台北。
夕方の台北。
光が変わっていく台北。
同じ展望台にいるのに、街の表情が変わっていく。
高いところから見る台北は、思った以上に広い。
ビルだけではない。
山があり、街が広がっている。
台北101は、夜景だけを狙うより、夕方から入る方が満足度が高い。
18:20 台北101のカフェで1人作戦会議
台北101展望台の中で、割引券のあったカフェへ。
なんとなく入ったのだが、これがよかった。
居心地がよすぎて1時間ちかく、ここで休憩しながら、
次に行く場所、ルートを調べる。
雨の様子も見る。
自転車旅は、走っている間は楽しい。
でも、情報整理の時間も必要である。
このカフェ時間があったことで、後半の動きがかなり整った。
弾丸旅は、止まったら負けではない。
止まって組み直す時間も必要である。
台北101のカフェ休憩は、ただの休憩ではなく後半戦の作戦会議だった。
19:20 夜の台北を自転車で走る
台北101を出る。
ここからが、なかなか狂っていた。
お土産を抱えたまま、自転車で走る。
夜の台北を40分ほど走る。
少し遠回りしたこともあり、かなりこぐ。
さながら、夜ふかしの桐〇さんである。
荷物あり。
夜。
雨上がり。
知らない道。
それでも、自転車で走る台北は楽しい。
車道の緊張感はある。
でも、街の光が近い。
看板も近い。
人の流れも近い。
地下鉄では見えない街の表情が、次々に横を流れていく。
夜の台北をYouBikeで走ると、旅が急に映画っぽくなる。
20:00 遼寧街夜市
遼寧街夜市でごはん。
大きすぎない夜市である。
弾丸旅では、巨大夜市よりこういう規模の方が扱いやすい。
大きすぎると、見るだけで時間が溶ける。
遼寧街夜市は、短時間で夜の台湾を吸うのにちょうどいい。
屋台。
明かり。
食べ物の匂い。
地元の人の流れ。
観光地としての派手さより、生活の延長にある夜市という感じがある。
台北の夜は、こういう場所を一本入れると一気に濃くなる。
20:40 DAISO台北慶城店
次にDAISO台北慶城店へ。
海外でDAISOに行くのは、地味に楽しい。
日本で見慣れたものがある。
でも、並び方や品ぞろえが少し違う。
台湾の生活に合わせた商品もある。
海外のスーパーや100円ショップは、観光地ではない。
でも、現地の生活がよく見える。
お土産屋より面白いこともある。
ただし、こういう店は危険である。
ちょっと見るだけのつもりが、普通に時間が溶ける。
海外DAISOは観光地ではない。でも、生活観察スポットとしてかなり強い。
21:00 ライトアップの中正紀念堂
DAISOを出て、地下鉄で中正紀念堂へ。
昼にも来た場所である。
でも夜はまったく違った。
ライトアップされた中正紀念堂。
ふつうに自転車で中に入れた。
中正紀念堂を夜に自転車でまわるのは非日常でおもしろかった。
普通外国なら危なくてできないことだが、台湾は治安がいい(ただし、徒歩は少し危ないかも)。
広い広場。
暗い空。
広い敷地を、自転車でゆっくり回る。
ダンスをしている人。
太極拳のような動きをしている人。
歌を歌っている人。
座っている人。
それぞれが好きなことをしている。
この自由な感じがいい。
旅の締めくくりにふさわしい場所だった。
ただ、
だから「いい雰囲気だった」で終わらせるには少し重い場所ということを忘れてはならない。
中正紀念堂は上述の通り、蔣介石を記念した場所であり、台湾の人にとっては単純な観光名所ではない、複雑な意味を持つ場所でもあるが、今では街の人の広場になっている。
それから自転車での疾走は続く。
自転車で台北駅という最後のミッションが残っている。
二二八和平公園の中を自転車で通り過ぎる。
少し降りて休憩する。南国っぽい鳥がいた。
名前の「二二八」は、1947年2月28日に始まった二・二八事件に由来する。
多くの台湾人が弾圧された事件で、中正紀念堂もそうだが、台北には「観光地としてきれいに見えるけれど、台湾の人にとっては複雑な歴史を背負っている場所」がある。
旅行者としては、全部を分かったような顔はできない。
ただ、そういう場所だと知って歩くだけでも、台北の見え方は少し変わる。
台北は、食べ物と街歩きが楽しいだけの街ではなく、近現代史の重さが普通の街中に残っている。
22:00 最後は尊足足体養生会館へ
最後の自転車をこいで駐輪場に置いて少し寂しい。
最後は、やはり足つぼで締める。
急いで尊足足体養生会館で超短時間コース。
ここまで走って、歩いて、食べて、また走った。
足は当然疲れている。
自転車旅は、歩き旅より楽かと思いきや、別の疲れ方をする。
太もも。
ふくらはぎ。
足裏。
そして、地味に肩。
最後に足つぼを入れるのは、ぜいたくではない。
帰るための整備である。
今度台北に行くなら、足つぼ街の近くに泊まりたい。
このあたりは足つぼ街のようだ。
さらにこのあたりは台北駅に近く便利。
これはかなり本気で思った。
台北は、足つぼの周辺を拠点にすると旅が強くなる。
台湾弾丸旅の最後は、足つぼで締めると妙に完成度が上がる。
22:45 台北駅発
23:30 桃園国際空港に到着
2:15〜6:00 帰国便
最後は、深夜2時15分発のフライトで帰国。
到着は朝6時ごろ。
つまり、台北を夜まで走り回って、そのまま深夜便に乗る流れである。
これが弾丸旅のきついところでもあり、面白いところでもある。
ホテルで寝る時間はない。
余韻に浸る時間もない。
夜の台北を走って、足つぼで締めて、空港へ向かって、そのまま日本へ戻る。
身体は疲れている。
でも、頭の中にはまだ台北の夜の光が残っている。
2:15発の深夜便はしんどい。でも、台北を夜まで使い切るには強い。
自転車弾丸旅終了
あとでサイクリング記録を計算すると、20km弱くらい走っていた。
そりゃ疲れる。
でも、これが楽しかった。
グーグルマップの経路履歴をオンにしておいて本当によかった。
サイクリングのルートまで残ると、後で振り返るのが楽しい。
遠回りしたところまでちゃんと記録されている。
旅は、その瞬間も楽しい。
でも、後でルートを見返す時間もかなり楽しい。
タイムラインは、旅の記憶を立体的にしてくれる。
自転車旅は、あとから地図で見返したときにもう一度楽しい。
今回は、前回とはまったく違う台北だった。
前回は、食べて、揉まれて、夜市へ行く旅。
今回は、自転車で街をつなぐ旅。
台北は、地下鉄でも楽しい。
バスでも楽しい。
でも、YouBikeで走ると、街の距離感が変わる。
近い場所が本当に近くなる。
遠い場所も、なんとなく行けてしまう。
そして、街の途中の景色が全部旅になる。
雨との戦いもあった。
暑さもあった。
荷物を持って走る地獄もあった。
でも、それ以上に楽しかった。
台湾LOVEである。
台北は、自転車で走るとさらに好きになる。
結論
台北のYouBike弾丸旅は、かなりあり。
ただし、向いている人は選ぶ。
暑い。
雨が降る。
スクーターが多い。
道に慣れるまで少し怖い。
荷物があるとしんどい。
でも、それでも楽しい。
今回の結論はこれ。
YouBikeは安い。
自由度が高い。
街の途中が全部見える。
市場、夜市、カフェ、足つぼを線でつなげられる。
普通の観光地巡りとは違う。
台北そのものを走る感じがある。
そして、台北は食べるだけでも楽しいが、自転車で走るともっと楽しい。
次に台北へ行くなら、またYouBikeに乗ると思う。
できれば、足つぼ街の近くに泊まって、朝から市場を回り、昼に鼎泰豊、夕方に台北101、夜に中正紀念堂を走りたい。
台北は、何回来てもいい。
台湾LOVEである。